有機化学博士が本気で考えてみた「なぜゴキブリは怖い?」〜博士とゴキブリに立ち向かう〜

- 暇つぶしをしている人
- ゴキブリに立ち向かおうと心に決めている人
「ゴキブリ」その名前を聞くだけで鳥肌が立つ人も多いのではないだろうか
「奴ら」が嫌いだから虫嫌いを名乗らざるを得ない人も多いはずであろう
街角で嫌いな虫アンケートを取れば、圧倒的な1位に君臨することはもはや自明だろう
今回は我々人類がなぜ彼らを恐れてしまうのか、博士号をもつミントガム中尉といっしょに考えていこう
はじめに:恐怖の原因を分析する目的は?
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という言葉をご存じだろうか
恐れていた「正体不明の存在」が実は「すすき」でした、知ってしまえばどうとでもなかったなという意味のことわざである
ブレーメンの音楽隊で強盗たちが逃げ出してしまうほど恐れた怪物が、実はただの動物たちだったように
昔から恐怖に立ち向かうには理解することが重要だと言われている
ゴキブリ相手でも同じことが言えるであろう、恐怖の対象を詳しく分析し理解することで
ただの弱い生物の一種となるだろう
ゴキブリはどういうところが怖い?
ゴキブリの特徴や生態に関しては天下のアース製薬がWebページにわかりやすくまとめてくれている
リンク:ゴキブリを知る
では、上のサイトや一般的なイメージからゴキブリの怖さを細分化していこう
ざっと考えると彼らの恐怖点を考える上で5つのポイントが思い浮かぶ
他の意見がある方はぜひコメントなどで知らせてほしい
- 病原体の媒介リスク
- 視覚的な不快感
- 運動特性
- 制御不能感
- 人間の学習能力
これらのポイントに注目し、なぜゴキブリが怖いのかを考えていく
病原体の媒介リスク
まずは、「病原体の媒介リスク」
確かに、病原体を媒介する生き物は恐ろしい、むしろ適切に恐れなければ自身の身を脅かす事態にもつながるであろう
デング熱が連日ニュースで騒がれていた時は「蚊」が何倍も脅威的に見えた人も多いのではないだろうか
ゴキブリにある不潔なイメージが「病気」という人類の敵を想起させるため恐怖感を煽っている
視覚的な不快感
次に、「視覚的な不快感」
不快な外見を定義するにあたり、『フランツ・カフカ著 「変身」 青空文庫リンク』の描写を参考にしてみる
そこには「甲殻のように硬い背」「茶色くて弓なりにふくらんだ腹」「たくさんの細い足」とある
具体的な虫の種類は明記されていないものの、世界中の人々に嫌悪感を与えた毒虫の外見的特徴とゴキブリの形状は一致していると言えるのではないか
カフカが言語化した不快感を体現するゴキブリの視覚的な不快感はこれ以上説明は不要だろう
運動特性
そして、「運動特性」
ゴキブリはその小柄な体格に似合わないスピードで壁や床を縦横無尽に駆け回る(1.5 m/秒級、人間サイズなら300 km/時のF1カー級だろうか)
あの史上最強の親子喧嘩で有名な「範馬刃牙」が師として敬うほどの運動能力である
人間の反射速度を凌駕する高速移動、存在を認知しつつも対処することができないという絶望から生まれる無力感が我々にデバフをかけ、彼らの能力を300%にも感じさせている
制御不能感
さらには、「制御不能感」
異なる種は結局のところ相入れないという宿命なのだろう
ゴキブリには言葉が通じない、彼らには命乞いすら通じないのである
こち亀の一説では両津勘吉が意思疎通に成功した描写があるが所詮は漫画の話だ
さて、あなたは「ジャンプスケア」というホラー映画の手法をご存知だろうか
静寂の中で突然大きな音や不気味な映像を流して観客の恐怖を誘うというものを言う
技術に頼らない強引な恐怖を作り出す方法であり、多くの映画好きを辟易させている
ここで、ゴキブリを考えよう
日常という静寂の中に予期せぬタイミングでいきなり現れる異物感、彼らは大きな音こそ発しないが一種のジャンプスケア的な手法をとっていると言っても過言ではない
容易に認識できる一方で、どこにでも潜むことができるサイズ感から生み出される天然物のホラー体験がここにある
人間の学習能力
最後に私が一番の原因だと考えているのが「人間の学習能力」である
人間は学習をする生き物であり、そのおかげでここまで発展してきた
熱いものに触ると火傷する、高いところから落ちるとケガをする
このような学習を繰り返し危険を「恐怖」として「学習」することで日々を過ごすことができる
ここでゴキブリに関する印象を振り返ってみてほしい
実際に彼らから直接的な被害を受けたことのある人は少ないのではないだろうか
幼少期の安心の象徴である「親」が悲鳴をあげて逃げ惑った相手
殺虫剤のCMなどで繰り返し伝えられる誇張的な負のイメージ
都市伝説的に語り継がれる不快な生態
あなたがこれまで過ごした日々、学習した知識の積み重ねこそがゴキブリを恐れる真の理由でないかと思う
実際に、ゴキブリが生活から縁遠い北海道に住んでいた時、飲食店にゴキブリが現れたことがあった
そこでは大騒ぎすることもなく、老若男女問わず多くの人がその存在を物珍しげに眺めていたものだ
結論
まとめると、
学習してしまったことによる恐怖の芽生え
対峙するタイミングの不意打ち感と不快感のあるビジュアルによる脅威の増幅
病原体リスクや高い運動能力といった立ち向かうことすら困難な絶望感
これらが合わさり人間はゴキブリを恐れるのだろう
博士と考える。ゴキブリにどう立ち向かうのか?
適切な武器を選ぶことで脅威は脅威でなくなる
野生動物に怯えていた我々の先祖は火を手にして渡り合えるようになった
適切な武器を装備することで対等以上に渡り合えるのである
まずは、あなたの恐怖の原因として何が一番大きな割合を占めているのかを考えよう
過去のイメージや彼らのリスクを変えることは、なかなかに難しい
そこで”今スグ”できる対処として「ビジュアル」「運動能力」「制御不能感(不意打ち)」にしぼって考えてほしい
恐怖の根源と向き合ってもらう間にどの理由にも共通する対処法について説明していく
それは「ゴキブリに不利なバトルフィールド作り」である
BLEACHの日番谷冬獅郎が山本元柳斎重國が卍解をすると能力を発揮できなくなるように、彼らのポテンシャルを最大限引き下げてしまえば良いのだ
- フィールドの視認性を上げよ
狭くて暗い場所こそ絶好の潜伏スポット、ゲリラ戦略による奇襲攻撃を防ぐため「床と家具の隙間を塞ぎ」「床に置くものを減らす」べし
特にダンボールやいつか使いたい紙袋などは絶好の住処となるので定期的な処分を
ゴキブリは「負の走光性」をもつため、暗がりを減らして部屋を明るく保つと◎ - 兵糧攻めをせよ
敵の体力を減らすためにエサを徹底的に排除せよ
食べかす、飲み残し、排水口は徹底的に掃除して微塵もエサを与えないように - 忌避成分(苦手なニオイ)を設置せよ
ホウ酸団子や、虫除け効果のあるハーブ、ゴキブリ避けスプレーなど敵を退ける物資をフィールド上に散らしておこう
人間がゴミ捨て場に長居したくないように、彼らも苦手なニオイのする場所には近づきたくないものだ - 武器はいつでも手元に用意せよ
いざ対面してしまってから武器を探し始める、こんな後手後手の行動は兵士失格である
ベットの横やテレビ台の下などスグ手に取れる場所に装備を準備しておくべし
殺虫スプレー以外にも雑誌やスリッパなどの打撃武器でも十分有効である
さて、次にあなたの恐怖ごとの戦略を考えていこう
ゴキブリのビジュアルが苦手なあなたは、直接立ち向かうことは非常にハードルが高いと思う
そこでこのような武器を紹介したい
- 燻煙剤 バルサンなど
部屋中に殺虫成分のある煙を充満させることで姿を見ずとも敵の排除が可能である。ビジュアルが苦手なあなたも姿を見ることなく脅威を取り除けるのだ
*2週間で効果が弱まる点や一部の家具やペットなどを避難させる必要がある点には注意
有効成分は
オキサジアゾール系のメトキサジアゾン
燻煙剤に用いられる殺虫成分であり、一般的なピレステロイド系殺虫剤が効かない個体にも有効(作用機序が異なる)


ピレステロイド系のフェノトリン
従来のピレステロイド系成分よりも水中安定性に優れて、残効性がプラス
→噴霧に向いている


ゴキブリのもつスピードや反応速度、その運動能力に悩まされている場合は
相手の機動力を超える範囲攻撃で立ち向かいましょう
- 冷却スプレー ゴキブリ超凍死ジェットなど
広範囲に冷却剤を噴射することで相手の体力を奪い、最後には凍結させることができる
薬剤耐性を持っていようが問答無用で退治可能
ただし、凍結している間に処分しないと復活の可能性も、、、袋に密閉するなどの対処をお忘れなく
冷却成分は
HFO-1234ze((E)-1.3.3.3-テトラフルオロプロペン)など
沸点が-19度と非常に低いため、空気中で一瞬で沸騰し、気化熱により周りを瞬時に冷却できる


- スプレー式殺虫剤 ゴキジェットプロなど
もちろん、凍結させないスプレー式の殺虫剤で攻めるのもオススメ
秒速1.5mとは言ってもスプレーで広範囲を絨毯爆撃してしまえば、なすすべもないだろう
攻撃力はピカイチ、敵の耐性を考慮して複数の有効成分の殺虫剤を用意しておくと良いかも
有効成分は
ピレステロイド系のイミプロトリンなど
ゴキブリ専門と言ってもいいほど彼らに与えるノックアウト能力が非常に高い


どこから襲ってくるか分からないのならば、逆転の発想であえて引き寄せることで敵の進軍ルートを固定してしまおう
- 粘着トラップ ごきぶりホイホイ
ゴキブリを引き寄せる誘引剤(食品由来のニオイやフェロモン類似物質など)を設置することで、あえて敵を引き寄せる
そして粘着剤で捉えて逃がさない
おわりに
本記事では、人類の強敵であるゴキブリへの対峙方法を有機化学博士なりに考察してみた
ぜひ、自分が恐れる理由と向き合い、適した対処方法を見つけてほしい
そして気が向いたら我々の武器となる殺虫剤の成分である化学物質とその働きにも目を向けてみてはいかがだろうか
以下に、本記事で紹介した武器たちの購入リンクを載せておくので実際に手に取って戦いに備えてほしい
リンクから関連商品をみて自分に合ったものを選んでみてください
ゴキブリを寄せ付けなくなるスプレー(バトルフィールド作り)
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スプレー式の殺虫剤(運動能力が苦手な人)
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粘着トラップ (制御不能感に困っている人)
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