有機化学博士VS足のニオイ〜分子レベルで戦う香ばしい毎日〜

- ゆるく化学を学びたい人
- 足のニオイ対策をしたい人
- 近日中にお座敷デートがある人
夏ですね
もちろん、夏じゃないあなたにも大事なことを教えますよ
一昔前には「夏は股間がかゆくなる」と歌ったCMもありましたが、
夏に蒸れて起こる問題は股間のかゆさだけではありません
そう「足のニオイ」も大問題
ムワッとくるニオイを感じてしまった日もあるのではないですか?
靴下を履かずにサンダルを直履きした日には、、、
考えただけで恐ろしい
でも大丈夫!その悩みは有機化学の力で解決できるんです。
有機化学=分子を自在に操る学問、臭い分子を操ることもお手のもの
この記事を読めば、気になるアイツの部屋にお呼ばれしても安心です
ニオイ対策と合わせて化学知識も身につけて、最高の夏を過ごしちゃいましょう
ニオイがするってどういうこと?
そもそも、人が「ニオイ」を感じる時には何が起こっているのかを考えましょう。
簡単に説明すると「ニオイ」を感じるとは、揮発したニオイ分子(原因物質)が空気中を漂い、鼻の中に付着することで起きる一種の化学反応のようなものです。
キンモクセイや炊き立てご飯に含まれる分子が鼻に入った時は「良いニオイ」
蒸れた足やオナラに含まれる分子が鼻に入ると「クサイ」と感じるように人の体が反応します。

極論を言ってしまえば、接着剤などで鼻をふさいで侵入経路を絶ってしまえばニオイに悩まされることはなくなります。自分の鼻ならそれで解決ですが、他人の鼻を接着するわけにはいかないのが悩みどころ。
そこで、化学知識を駆使して、他人にも影響を与えないニオイ対策を考えていきましょう。
原因となる分子(化学物質)を「飛び散らせない=相手の鼻まで届かせない」ということがポイントです。
おまけ情報:足のニオイの原因分子って何?
足のニオイの原因物質は複数種類存在するんですが
代表的なものは「イソ吉草酸(isovaleric acid)」という化合物です。

カルボン酸というお酢の仲間の一種です。
お酢のツンとするニオイを思い浮かべたら仲間ということがよくわかるかも
沸点が175 ℃の液体です。(水よりも75℃高い)
液体の割に揮発性のあるその性質が、足に発生したらなかなかいなくならないが、ジワジワと広がっていくという嫌さポイントを高める原因なんです。
原因物質の正体がわかってしまえば、対策を考えるのは化学者にとって朝飯前
次章から「化学反応」を活かした対策法を考えていきましょう!
化学でニオイをやっつけろ
有機化学者的な考え方でニオイ対策をするポイントは、
「化学反応や化学吸着で分子を飛べなくする」ことです。
詳しく考えていきましょう。
ニオイの原因物質であるカルボン酸(イソ吉草酸)は幸運にも反応性が高い化学物質です。
ちょっとした工夫で他の物質に変えてしまうことができるんです。
- 重曹でナトリウム塩に変換せよ
「酸」と「アルカリ(塩基)」が中和反応を起こすということは聞いたことある人も多いのではないでしょうか?
イソ吉草酸は名前の通り「酸性」の物質です。
身近にある「アルカリ性」の物質である重曹と反応することで、カルボン酸塩という揮発しにくい物質に変換することが可能なんです。
カルボン酸+重曹→カルボン酸ナトリウム塩
重曹入りのフットパウダーなどを振り掛けると足の上で中和反応が起こり、ニオイ分子を飛べない分子に変えてしまうことができます。
重曹を溶かした足湯なども効果的です。 - 酸化亜鉛で錯体にしてしまえ
錯体とは金属と分子がくっついた物質のことを言います。
カルボン酸は金属と仲が良く、簡単に錯体を形成することができます。
そのため、酸化亜鉛などの金属成分を配合したフットクリームなどを使うと、沸点の高い(飛散しにくい)金属錯体を合成することができます。
カルボン酸+酸化亜鉛→カルボン酸ー亜鉛錯体
他にも、酸化亜鉛の殺菌作用でニオイ物質工場である菌の繁殖を抑えることができたりと言った効果も期待できます。 - カテキンとの化学結合で捕まえろ
カルボン酸は「水素結合」と呼ばれる化学結合を形成しやすい特徴があります。
そこで、お茶などに含まれるカテキンを水素結合のモトとして利用すれば、その場に引き留められて外に飛んでいく力が弱められます。
カルボン酸+カテキン→構造は変わらないが水素結合形成
日本人に慣れ親しんだお茶の成分なので、見慣れぬ薬品に抵抗がある人でも安心です。
オマケとして化学的には正しいが、人間が耐えることのできない少し残念な対策法もいくつか挙げておきます。
- フィッシャーエステル合成で良い匂いに変換せよ
カルボン酸はクサイ物質ですが、その仲間のエステルはとても良い匂いです。
カルボン酸をエステルに変換して足のニオイを素敵に変換しましょう。
方法は簡単、消毒用アルコールを溜めた桶に足を入れて、塩酸を少し加えた後に沸騰させながら煮込むだけ
カルボン酸+アルコール+塩酸(触媒)→エステル
大火傷と肌荒れ間違いなしですが、ニオイ分子の変換には成功です。 - 液体窒素でニオイ分子を飛べなくしちゃえ
沸点よりも大幅に冷やしてしまえば、ニオイ分子の飛散は抑えられます。
(前の日のカレーを温め直したら良い匂いが漂うイメージです。)
靴の中に液体窒素をジャバジャバ流し込んじゃえば、温度がー196℃に近くなるためどんなニオイ分子も飛び出すことはできません。
カルボン酸+液体窒素→冷たすぎて飛び出せない
凍傷はもちろん、場合によっては窒息の危険もありますが、ニオイ問題は解決です。
おわりに
有機化学者とニオイ分子が戦う方法を化学的に考えてみました。
今回のポイントは①中和反応 ②錯体形成 ③水素結合です。
脇のニオイなど、体臭の原因物質はカルボン酸の仲間であることが多いので、今回紹介した方法は他のニオイ対策にも応用できると思います。
みなさんもぜひ、有機化学を駆使して夏の人類の天敵であるニオイ分子と戦ってみてください。
Let’s Enjoy Organic Chemistry!
最後に今回紹介した対策法を駆使した商品をいくつか紹介してお別れしましょう。
重曹でケアできる商品
ベビーフット 重曹殺菌消毒洗浄 医薬部外品 履くだけ 簡単 集中密着 重曹 柿渋 足のニオイ 取れない イソ吉草酸 特定悪臭物質 爪の間 角質層 染み付いた 臭い ニオイ 解消 リベルタ
酸化亜鉛でケアできる商品
【8/4 20:00~8/11 01:59 ポイント5倍】●【医薬部外品】エージーデオ24 デオドラントフットクリーム 無香料 30g
カテキンでケアできる商品
(保湿成分配合)クロバーコーポレーション からだの汚れ・体臭予防用薬用石鹸 女性向 子供 80g – 保湿成分「高濃度カテキン含有のお茶エキス」と「ハチミツ」配合で、清潔で滑らかな肌へ!