アオハルを塗りつぶせ、灰色の青春ロック「忘れらんねえよ」を聴いてくれ

- 邦ロックが好きな人
- 学生時代に一軍になれなかった人
- ダサイ恋愛をしてきた人
学生時代、とあるライブハウスで初めて「忘れらんねえよ」のライブを見た。
目当てのバンドの対バンとして出てきたノーマークの存在
[Alexandros]のワタリドリに合わせて客の後方から現れたのは、ステージには似合わないトレーナーを着た普通のおじさんだった。
色物かと思って油断していたが、大間違いだった。
カラダの前面を切り開かれ、心臓と脳に直接届けられるメッセージに全身を揺さぶられた。
決して自慢できないような青春を送ってきた僕の、僕たちの灰色の青春を肯定するような歌
白黒の人生だってこんなに美しいんだと思わせてくれた。
そんな最高にダサくて、最高に熱いバンド「忘れらんねえよ」を紹介させてほしい。
「忘れらんねえよ」って?
2008 年結成。メンバーはVo&Gt 柴田隆浩のみ(他のメンバーは全員脱退)。
2011年TVアニメ『カイジ』のENDテーマとなった「CからはじまるABC」でメジャーデビュー。
2020 年12 月には中野サンプラザで自身初のホールワンマンライブを開催し、成功を収めた。「ROCK IN JAPAN FES」「COUNTDOWN JAPAN」など大型フェスにも多数出演中。 また、中山美穂、菅田将暉、のんをはじめとするアーティストへの楽曲提供も行っている。
OFFICIAL SITEのBIOGRAPHYより
曲のテーマはとてもシンプル。
「かっこ悪い生き様」に真正面から向き合った曲が多い。
だからこそ、聴いていてものすごく「リアル」だ。
取り繕っていない。言い訳もしていない。
比喩や遠回しな表現はほとんどない。
代わりにあるのは、情けなくなるような“本音”だけ。
ストレートで剥き出しの感情、それが「あ、これ俺のことだ」と感じさせる。
だからこそ、J-Popのキラキラ感についていけない人の“脇役”な部分に突き刺さるんだと思う。
音楽性としては、いわゆる青春パンク〜邦ロック系と言えるだろう。
ギターサウンドと心の叫び
ライブハウスはもちろん、ヘッドホンで聴いても、すぐ隣で歌ってくれているような、救われた気持ちになる。
「忘れらんねえよ」は、主役になれなかった全ての人にとって、誰よりも近くで、誰よりも不器用にエールを送ってくれる
そんな“たった一人の応援団”だ。
個人的好きな曲3選
Youtubeの公式チャンネルに上がっている曲の中から、オススメを勝手に紹介させてもらう。
少しでも心に響いたら、サブスクなどで深掘りして、ライブに足を運んでみて欲しい。
※どれも公式YouTubeで聴ける名曲です。リンク貼ってるのでぜひ聴きながら読んでください!
俺よ届け
タイトルだけで「君に届け」のパロディーソングと舐めてかかってはいけない
どちらの曲も“君”をずっと好きで居続けることを歌っている。
しかし、「俺よ届け」は風呂場のシャンプーボトルの裏側くらいリアルだ。
サビの「絶対俺変わったりしないから ずっと君が好きだから」というフレーズ
ここだけを切り取ると純愛ソングのように感じさせる。
これが忘れらんねえよの曲になると、「行動できない男」が変わる勇気が出ないし、直接行動はできないけど気持ちだけは負けないから振り向いて欲しいというニュアンスを醸し出している。
クラスの挨拶程度しか交わせない「憧れの彼女」が「イケてる男子」と付き合い始めたのを隅っこから見ている。
そんな二軍あるあるを飾らない言葉で歌ってくれている名曲だ。
この曲に引っかかる部分がある人は忘れらんねえよにハマること間違いなしだろう。
君は乾杯のとき俺とだけグラスを合わせなかった
飲み会の一場面「君は乾杯のとき俺とだけグラスを合わせなかった」
はたから見れば何気ない出来ごとだが、相手の一挙手一投足を追ってしまい意味もなく傷つく
そんな片思いあるあるにフォーカスした曲だ。
勝手に意識して勝手に傷ついて「君の方はあえて見ないで別の女とどうでもいい話をして、あえて大きい声で笑う」ダサすぎる行動
そして繰り返される「君単体狙いじゃないけど」という保身のフレーズ
どちらも最高にカッコ悪い。しかし、確実に身に覚えがある。
ダサイ片思いを繰り返してきた僕たちの心の傷をえぐりながら寄り添ってくれる。
まさにアメとムチのような曲だと思う。
中年かまってちゃん
この曲は自分が歳を重ねるたびに深みを増していくスルメのような歌である。
学生の時は、なんとなく遊び相手がいたものだが、悲しいかな中年になると自分から行動しない限り友達と遊ぶことすらできない。
友達のインスタグラムを眺める夜
楽しそうな写真の輝きに対比するよう、その場に誘われていない自分の影が深くなることを感じる。
その日は暇だったけど誘われていないなという孤独感を紛らわせてくれるのは忘れらんねえよしかいない。
なかでも
「エロサイトの深夜サーバーに負荷がかかって、つながらんのは俺が一人じゃないから」
という歌詞には感銘を受けた。
孤独を感じている人同士もエロサイトを通じて繋がっているということを教えてくれた。
決して自分の生活は変わらないけど少しだけ過ごしやすくしてくれる。
そんな歌が忘れらんねえよの魅力だ。
終わりに
一軍になれない人たちが少しだけ前を向けるようになる歌を歌ってくれるバンド「忘れらんねえよ」を紹介させてもらった。
今回紹介した3曲以外にも名曲が多いので、興味を持ったらぜひ調べてみて欲しい。
ヘッドホンで聴いても十分に心を動かされるが、ライブハウスで聞くと一段と胸に響くので機会があったら行ってみてください。
本ブログでは化学をゆるく学べるの記事も書いているのでよければ覗いてみてください。